戦っているときには何も見えていなかったけれど、実は自分はずっと幸せだったのかもしれない。
最近、鈴子はそう思うことが増えた。目の前の彼に告げたらなんやそら、と大仰に呆れられてしまうだろうけれど。
その表情を思い浮べて、思わず漏れた彼女の笑いにスプーンに映った顔が眉をしかめる。なんやお前どないしたん。歪なティースプーンの中の像がさらに歪む。彼が誕生日にくれたもの。上品なデザインで、なかなかセンスのいいそれに、意外だと言うと、ああ、あの時も同じように顔をしかめていたっけ。思い出して、また笑う。何でもないです、なんだかすごくふわふわした気持ちになる。ほんまかいな、釈然としないと言いたげな声を遮って、
「しあわせです」
たった一言。本物の笑顔と、四文字の呪文はあっと言う間に彼の頬を朱に染める。あほか、幾分いつもの軽快さをなくした声に、また、くすり。
だって今の鈴子の幸せといったら何と安いものか!
ローテーブルの上、焼きたてのスコーンに熱いお紅茶。お気に入りのティースプーンにお砂糖をいち、に、さん、四杯入れればもっとしあわせ。
隣にあなたがいれば完璧。
「女って単純やなぁ」
「男の人と同じぐらいにはそうかもしれませんわ」
照れ隠しのように目をそらす彼をスプーンに写して、ただただ溢れる、しあわせ。
ろり……いや、るりさんへ!なんか会うたびにお世話になっててすみません!!!!!書き上げたので許してください!!!!!!!!!!←
ほんとにいつもありがとうございますー!平伏!!!!!
ハニーさんの分も待っててくださいね^^
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