我輩は猫である。名前は……まだないと云いたい処だが、生憎、変なニンゲンたちにより、シャミセンという訳の分からない名前をつけられ、飼われている。また、我輩普段は決して自分のことを我輩などとは呼ばない三毛猫(オス)なのであるが、我輩は空気を読める猫なので今回は我輩で通させていただく。悪しからず。
さて、前置きを終えたところで(本当はこんな前置きなんぞはいらなかったのかもしれんが、我輩、日本男児として生まれたからには礼を尽くそうと思う)我輩を飼っている家族についてお話しようと思う。家族構成は、父上殿、母上殿、妹などという煩い子供と、キョンとかいうやる気のない男の4人である。一番我輩をかわいがっているのはなんといっても母上殿である。毎日ニンゲンの残飯とはいえ三食も決まった時間に、しかも一日として欠かすことなく餌を与えてくれる。(父上殿も時たま高価な猫缶を買ってくれるので非常に感謝している)次点でキョンであろう。奴は我輩の扱いについてやたらと達観した一面があり、まあ要するに撫でてもらうとこれがいい感じに気持ちがいいわけである。
最後に、一番構ってくるものの一番うるさく扱いに苦労する妹であるが、今日はキョンの友人―――キョンは断固として否定しているが、なかなかの好青年だ―――が来ているかららしい。いつだったか妹は「古泉くんみたいな男の人と結婚したいなぁ」と兄であるキョンに漏らし、彼の眉間の皺をより深くさせていた。
「古泉くん古泉くん!シャミツー連れて来た?」
「はい、ここに」
大きなリュックサックから出てきたのは果たして、我輩にそっくりの三毛猫(メス)、シャミツーであった。
「わぁー!シャミツーおっひさー!」
はしゃぐ妹は古泉とシャミツー両方に甘え甘えられるというなんとも贅沢コースを体験中だった。羨ましいことこの上ない。が、なんだか妹にシャミツーを取られるのも癪なので我輩もせっかくの再会に出向いてやることとする。やあやあどうもと鼻先をくっつけるとシャミツーはごろごろとのどを鳴らす。ふむ、悪くない。
「わーシャミとシャミツー仲良しさんだねぇー」
「ふふ、そうですね」
「古泉くん、あたしたちも大きくなったらシャミとシャミツーみたいになりたいね!」
「……おまえええええええええええええええええ!」
キョンがスライディングで入ってきた。騒がしい男だと思ったが、そもそもこいつは突っ込み要員な上、リアクション担当で、おまけにここは彼の部屋に他ならないので誰も煩いなど云えない。ああ騒がしい男だ。
「おまえいいか!こいつだけはやめとけ!いいか、絶対だぞ!」
「…キョンくんなんでそんなに汗だくなのー?」
やれやれ、まったくもって騒がしい兄妹である。ともあれ、これがこの家の平和で日常的な風景であるからどうしようもない。我輩はシャミツーの身体に寄り添いながらそんな平和をひしひしと実感するのであった。
蛇足であろうが、我輩は知っている。ぎゃあぎゃあきゃいきゃいと騒ぐ奴ら莫迦兄妹の耳には聞こえなかったろうが、我輩の耳にはたしかに、古泉の「…子供相手に大人気ない」という呟きが聞こえた。まあ本当に蛇足ではあるのだが。
相方とあみだした結果、恐怖の古泉×妹アゲイン……!wwwwwwwwwwwwwwwwしかも最終的にキョン古だよこれアリエナイ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
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