ニール・ディランディはいつだって俺のヒーローだった。
双子だから、顔も身長も声も(それどころか好き嫌いなんかも)殆ど違うところだってありゃしなかったのに、何故だか俺は兄さんが誇らしくてしょうがなかった。いつだって彼のまわりには笑顔があって、たくさんの人がいて。自慢の兄だった。
ある日突然俺を置いてどこかに行ってしまったときでも全然疑いもしなかった。今だってそうだ。いつだって遅れて登場するヒーローの帰還を当たり前のように信じている。
きっとソレスタルビーイングの面子にとってもそれは一緒だったのだろうとぼんやり思う。兄さんは優しい人で、どことなく終わりを感じさせない人だったから。俺のヒーローはひっそりと死んだ。テロリストという罪の中で。
「……なぁ、」
俺はハロを撫でながら刹那に声をかけた。寡黙な男はとても真摯な瞳でこちらを見る。
「墓、作ってやったがいいかなぁ」
聞くと男は一瞬だけ目を見開いて、それでも律儀に返した。お前がそうしたいのなら。
「あいつが家族と一緒に眠れるなら、それがいい」
そうしたらきっと、俺たちのヒーローにサヨナラできる。そうしたらきっと、俺はロックオン・ストラトスになれる。そうしたらきっと、。
(ライルと刹那)
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