ああ、結果的に俺はまた兄の道をなぞってしまったのだ。突然現れたアジア人の男が兄の話をし、重ねてソレスタルビーイングという名前を出したとき、なんとなくそんなことを思った。それは多分、ひとりよがりな被害妄想なんかではない。
「あんたが必要なんだ」
そいつは結構なことだ。俺は心の中で呟いた。男の瞳は兄にそっくりで、ひどく癪に触った。
俺はライル・ディランディで、カタロンのジーン1だ。ロックオン・ストラトスという男は俺の過去のどんな場所を切っても存在しないし、ニールとライルが同じだった瞬間もまた、存在しない。この男が兄の代わりを求めているのならお門違いもいいところだし、それは俺には関係のないことだ。
みんなに愛されていた兄さん。代替品の俺。カタロンと、ソレスタルビーイング。利用せずしてどうするっていうんだ?
(ま、せいぜい利用させてもらうぜ)
「あんたが必要なんだ」あんたのその言葉が嘘じゃないなら、もう一度愛してみせてくれよ。
この俺、ロックオン・ストラトスを、さ。
(#2のライルと刹那)
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