「 、」
俯いた彼が低く呟く。何一つとしてその言葉たちは届かなかったけれど、たったそれだけでこんなにも動揺してしまうなんて、すべてをさらわれそうになるなんてつくづく情けないと思う。心中で自分を戒めてみるものの、とっくに手遅れであることは己がいちばん知っている。
「刹那、せつな、・・・」
かたちのいいつめが白くなっている。体温もとっくに熔け合っててのひらの温度なんか分かりもしないのに、あたたかいだろうとあんまりさみしそうに笑うので、結局その手は振り払えないままだ。てのひらの温度なんて、すっかり馴染み切ってしまった。そんなに長い間、彼は刹那の手を掴んで離さない。
「無理に掴まなくていいさ」
そう云って頼んでもいないのに手を引きばかのように笑う。誰だってなにかを背負っているだろうこの艦の中で、おかえりと笑い続ける。
そんな彼が、(今更気付きたくなどない)(そんな彼が救いだったなんて、)。
彼の指の感触なんて、もう思い出せない。そのぐらい、馴染んでしまった。あたりまえにそこにあるものだった。
無理に掴まなくても、いいさ(代わりに俺が掴むから)。今更気付きたくなどない。その言葉が、何よりの赦しだったなんて、そんなことに気付く愚かさに気付きたくない。
離れてしまった。気付いてしまった。あんなにも(あなたにこの手を、)。
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00のロックオン→←刹那・・・は、初めてせっつん書いたんだけど何この難しさ\^o^/難易度高杉\^o^/なんだかやっぱり携帯はとても文が書きづらいです・・・やっぱパソ子ですね!
どうでもいいけど地味に実は生むのに一週間くらいかかってます産みの苦しみってやつですね^^
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